Threads of The Dumfries House:Colours
ダンフリーズ・ハウスの紡ぐ糸:カラーをめぐって
May 7th,2026
JOURNAL
LIVING WITH ONE KNIT, OVERTIME
一着のニットと、時を編む
May 21th,2026
MOCK TURTLE NECK T-SHIRT | ARBER | ¥40,700
CREW NECK CARDIGAN (2002AW) | W0534
Cardigan and Pants are modelʼs own
MOCK TURTLE NECK T-SHIRT | ARBER | ¥40,700
CREW NECK CARDIGAN (2002AW) | W0534
Cardigan and Pants are modelʼs own
幾度となく袖を通し、くたくたになるまで着込んだはずなのに、なぜか手放せない。「捨てどきがわからない」と感じるのは、その一着に対する「愛着」があるからでしょう。しかし、私たちはどのような過程を経て、モノに愛着を抱くようになるのでしょうか。そこには、品質やデザインだけでは説明しきれない何かがあるように思えます。
ジョン スメドレーを愛用する人の中には、同じニットウェアを、何年、何十年と着続ける人が少なくありません。東京を拠点に、住宅やランドスケープ、舞台空間まで幅広く手がける建築コレクティブULTRA STUDIOを率いる建築家・笹田侑志さんも、その一人です。約10年前に購入したクルーネックカーディガンを、何度もリペアしながら、今なお大切にされています。
衣服に限らず、ひとつのモノと長く付き合うことが多いという笹田さん。その価値観は建築にも反映され、これまで「空間への愛着」や「風景の再解釈」をテーマに、使い手に愛され時間をともに重ねていける建築を手がけてきました。
空間が長く使われるためには、使い手がその空間に能動的に関われる余地があることが重要だと笹田さんは語ります。人は空間との関係を築き、関わりを重ねていくことで、はじめてそこに愛着を感じるようになる。その関係性を生み出すために、ULTRA STUDIOは空間の中に使い手がミステリアスに感じる要素を取り入れてきました。そのひとつが、色や素材といった「装飾」です。
「色や素材は、空間という大きな存在に対して、人が能動的に関わるためのきっかけになると考えています」
色があることで、人は自然と想像を巡らせます。なぜこの色なのか、この色の壁や床にはどのような家具が合うのか。素材についても同様です。彼らが独自に制作してきた「スカリオーラ」と呼ばれる擬似大理石は、見た目は大理石のようでありながら、触れた瞬間に異なる温度や質感を伝えます。そのわずかな違和感が、使い手の意識を空間へと引き寄せます。
使い手が能動的に空間と向き合うことで、その場所は少しずつ新たな表情を帯びていきます。たとえば、構造上生まれた小さな段差が飾り棚になったり、洗濯を干すために考えた雨除けのピロティが食事の場となったり。ULTRA STUDIOが考える「豊かな空間」とは、使い手と空間との対話が積み重なることで、時間をかけて形づくられていくものなのです。
FULL BUTTON SHIRT | FOLKE | ¥50,600
HOPSACK COLLARLESS JACKET | L03620FJ259| ¥108,900
FULL BUTTON SHIRT | FOLKE | ¥50,600
HOPSACK COLLARLESS JACKET | L03620FJ259| ¥108,900
衣服においても、空間と同じように、使い手が能動的に関わることで育まれていく豊かさがあるのかもしれません。
ジョン スメドレーのニットウェアは、高品質な天然素材を用い、熟練の職人が丁寧に仕上げることで生まれる確かなクオリティと、流行に左右されないタイムレスなデザインで長く愛用できるアイテムが揃っています。しかしその魅力は、単に「長持ちする」ことにとどまりません。
多彩なカラーバリエーションや、ディテールの異なるモデルが展開されていることによって、数年前に購入したカーディガンに今季の新色を重ねたり、同じモデルを色違いで揃え、その日の気分や天候、会う相手によって選び分けたりする。そうした行為は、定番のカラーパレットやスタイリングをなぞるのではなく、着る人自身が能動的に衣服との関係を築いていくプロセスだといえるでしょう。
また、着始めの頃は張りのあった生地も、時間とともに毛羽立ちや擦れ、ほつれが生まれていきます。そんな変化に気づいたとき、リペアを検討してみるのもひとつです。手を入れながら着続けることで、衣服はただ消耗していくものではなく、関係を更新し続ける存在になります。どう着るのか、どう直すのか、どんな場面で選ぶのか。そうした選択の積み重ねが衣服との対話を生み、やがて愛着という感情へと結びついていくのかもしれません。
ROLL NECK PULLOVER | S4751 | ¥53,900
CREW NECK CARDIGAN (2002AW) | W0534
Cardigan and Pants are modelʼs own
ROLL NECK PULLOVER | S4751 | ¥53,900
CREW NECK CARDIGAN (2002AW) | W0534
Cardigan and Pants are modelʼs own
CREW NECK CARDIGAN (2002AW) | W0534
Cardigan are modelʼs own
CREW NECK CARDIGAN (2002AW) | W0534
Cardigan are modelʼs own
ジョン スメドレーのニットウェアは、品質やデザインによって長く使い続けられるだけでなく、使い手が主体的に関われる余地を備えています。それは、修繕を重ねながら着続けたくなる「自分だけの一着」へと育っていく可能性を秘めているということ。その価値は、袖を通した瞬間ではなく、何年もの日常を重ねた先で、静かに、しかし確かに立ち上がってくるはずです。
Photography by Jun Yasui
Edit and Writing by Junki Shibata (kontakt)