BRITISH SPIRATION : Ribbons with attitude
結び目に表れる決然とした意志。
October 3rd,2024
JOURNAL
TIME TRAVEL THROUGH ART
Episodes that tell our history
September 19th,2024
ジョン スメドレーは 240 周年を迎えるにあたり、アーティストのメリッサホワイト
さんと壁画を制作しました。前篇に続き、壁画の制作過程を通して、脈々と紡がれ
てきたブランドの歴史に迫ります。
ジョン スメドレーは 240 周年を迎えるにあたり、アーティストのメリッサホワイトさんと壁画を制作しました。前篇に続き、壁画の制作過程を通して、脈々と紡がれてきたブランドの歴史に迫ります。
この壁画にはリサーチ、そして、彼女がダイレクトに体感したことをもとに 70 以
上の物語が込められています。そのなかには、240 年間変わらず存在する丘や川と
いった自然環境とともに、人間によって築かれた歴史があります。たとえば、手前
に見える丘に張り巡らされた革のレール。これは、工場内を走っていた台車の車輪
から、床を保護するために廊下に敷かれていたものであり、何度も台車が走って生
まれた擦れや皺があります。この独特のテクスチャーは、ブランドが長年にわたり
積み重ねてきた時間の証であり、木や小川を描いた絵の表面にも、メリッサは工場
の内部で見つけたテクスチャーを筆致に取り入れています。
この壁画にはリサーチ、そして、彼女がダイレクトに体感したことをもとに70以上の物語が込められています。そのなかには、240年間変わらず存在する丘や川といった自然環境とともに、人間によって築かれた歴史があります。たとえば、手前に見える丘に張り巡らされた革のレール。これは、工場内を走っていた台車の車輪から、床を保護するために廊下に敷かれていたものであり、何度も台車が走って生まれた擦れや皺があります。この独特のテクスチャーは、ブランドが長年にわたり積み重ねてきた時間の証であり、木や小川を描いた絵の表面にも、メリッサは工場の内部で見つけたテクスチャーを筆致に取り入れています。
また、木々の間に吊るされた「股引」は 1900 年代初頭に大正天皇のために作られ
たものであり、海を越えた当時の人気ぶりがうかがえます。股引の英訳である「ロ
ング・ジョン」はブランドの名前をそのまま採用したと言われています。
また、木々の間に吊るされた「股引」は1900年代初頭に大正天皇のために作られたものであり、海を越えた当時の人気ぶりがうかがえます。股引の英訳である「ロング・ジョン」はブランドの名前をそのまま採用したと言われています。
さらに、史実や目に見えることをただ映し取ったのではなく、ブランドを構成する
大切な要素が盛り込まれています。たとえば、工場のあるリーミルズには、実は桜
の木は見当たりませんが、交流が始まってから今年で 110 周年を迎えたブランドと
日本の関係を、約 100 年前にイギリスの園芸家コリングウッド・イングラムによっ
て日本からイギリスに持ち込まれた桜に見たてて表現されています。
さらに、史実や目に見えることをただ映し取ったのではなく、ブランドを構成する大切な要素が盛り込まれています。たとえば、工場のあるリーミルズには、実は桜の木は見当たりませんが、交流が始まってから今年で110周年を迎えたブランドと日本の関係を、約100年前にイギリスの園芸家コリングウッド・イングラムによって日本からイギリスに持ち込まれた桜に見たてて表現されています。
また、奥に見える山々は、工場のある場所から実際に見えるわけではありません。
メリッサが描いたのは、メリノウールの生産者が拠点を置くニュージーランドの
マウント・アーンショー。工場周辺の風景を写実的に描くのではなく、働く人た
ちにとっての心の風景を捉えることで、ブランドの歴史を一枚の絵に表現したの
です。
また、奥に見える山々は、工場のある場所から実際に見えるわけではありません。メリッサが描いたのは、メリノウールの生産者が拠点を置くニュージーランドのマウント・アーンショー。工場周辺の風景を写実的に描くのではなく、働く人たちにとっての心の風景を捉えることで、ブランドの歴史を一枚の絵に表現したのです。
つまり、この壁画は、過去から現在、そして未来へと続く希望さえも込められた
動的な物語の記録です。そして、さらに、ひとりひとりがブランドの歴史を知り
どのようにニットを身につけるのか。それが、まさに現在進行形でブランドの文
脈を紡いでいるのです。
Edit and Writing by Junki Shibata (kontakt)
つまり、この壁画は、過去から現在、そして未来へと続く希望さえも込められた動的な物語の記録です。そして、さらに、ひとりひとりがブランドの歴史を知りどのようにニットを身につけるのか。それが、まさに現在進行形でブランドの文脈を紡いでいるのです。
Edit and Writing by Junki Shibata (kontakt)