MODERN IDEAS, TRADITIONAL ROOTS
過去に根ざし、未来を蒔く
November 28th,2025
JOURNAL
SOFT AND COMFORT:
HOW KNITWEAR GIVES RELIEF IN HARD WORKING TIMES
忙しい日々に、柔らかいニット。
December 19th,2025
ジョン スメドレーに数年前に仲間入りした素材「エコカシミヤ」。
軽くて暖かく、やわらかな質感から感じるぬくもりは、日常の小さな贅沢のよう。プレッシャーの多い仕事の日々のなかで、このニットはまるでお守りのように、心にほんの少しの余裕を与えてくれる存在にもなり得ます。
ジョン スメドレーといえば、薄手のハイゲージニットを思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど実は、秋冬シーズンには、やわらかな肌触りが心地よいミドルゲージのニットも豊富に揃います。
その中でも注目したいのが、「エコカシミヤ」と呼ばれる素材です。これは、リサイクルカシミヤとメリノウールを半分ずつブレンドした、ブランド独自の開発素材。ヴァージンカシミヤの糸を作る過程で本来廃棄されていた毛を再利用することで生まれました。ジョン スメドレーでは、伝統的な編地を守りながらも、日々改良を重ね時代に即したサステナブルなものづくりに取り組んでいます。「エコカシミヤ」は、その姿勢から生まれた成果のひとつです。
このエコカシミヤは、ハイゲージニットと異なり、ふわりと空気を含んだような温かさと、優しく肌に触れるタッチが特徴です。カシミヤの繊細さと、メリノウールの機能性が融合し、贅沢でありながらも日常に馴染む、軽やかで頼れる一着となっています。
そんなぬくもりのある素材は、ストレスフルな仕事環境にもフィットします。日々のデスクワーク、打ち合わせ、突然かかってくる電話、迫る締め切り…。心に余裕を持ちにくい状況のなか、オフィスの空調で身体がだるくなってしまうことも。そんな日々を過ごしていると、心まで疲れてしまうこともあるかもしれません。
CREW NECK RIBBED PULLOVER | OXNARD | MIDNIGHT | ¥83,600
RIBBED SCARF | STARK | MIDNIGHT | ¥39,600
FINGLERLESS GLOVE | MIST | POLAR | ¥17,600
Pants are model’s own
CREW NECK RIBBED PULLOVER | OXNARD | MIDNIGHT | ¥83,600
RIBBED SCARF | STARK | MIDNIGHT | ¥39,600
FINGLERLESS GLOVE | MIST | POLAR | ¥17,600
Pants are model’s own
今回、私たちが訪ねたのは、ロンドンのクリエイティブ・エージェンシー「WEBBER」。写真家やスタイリストなど、様々なアーティストのマネジメントを手掛けるこのエージェンシーで、ロンドンオフィスを率いるのがローラ・ドーズさん。契約交渉や新規案件の獲得から、クリエイティブサポートまで、多岐に渡る業務を担い、アーティストとクライアントの間に立って、キャリアを支えています。
朝 9 時半、ソーホーにあるオフィスにチームのメンバーが集まります。自転車やバスで出勤してくる個性豊かな面々が、「週末はどうだった?」と話す様子が、和気藹々と活気的。お互いにサポートし合う、仲のいいチームワークながら、それぞれが仕事に真剣に向き合っています
ローラさんはいつも明るくチームをリードしていますが、もちろんタスクは山積み。複数のプロジェクトが同時進行する中で、想像力と実務を行き来しながら、日々の判断に追われます。メールへの返信、電話対応、ミーティング…。オフィスを歩き回りながら、ときにはジョークを交え、スピード感を持って働くローラさん。彼女のように忙しく働く人たちにとって、心地よい洋服を選ぶことは、自分のための大事なケアでもあります。
彼女が冒頭で着用するのは、「TABATHA」というエコカシミヤの赤いリブニット。袖とネックにリブを配した、ルーズフィットのセーターです。やわらかな肌触りが、張り詰めた気持ちに小さな余白を与えます。ロールネックを少しだけあげて、深呼吸する。そんなひとときが、働く日常のなかでのささやかな救いになるのです。
エコカシミヤのニットについて、こう話してくれました。「まるで第二の肌のように柔らかくて、快適なのに控えめ。スピードの速い仕事の中で、自分の中に持っていたい『落ち着き』の感覚に、とても合っていると思います」
ローラさんが着用する、グレーの「NEWRY」やネイビーのプルオーバー「OXNARD」もすべてエコカシミヤ。さらに、同じ生地のスカーフと、フィンガーレスグローブに身を包めば、まるで温かい布団に包まれているような安心感を与えてくれます。指が自由に使えるデザインは、仕事中の電話対応にも便利です。これらは、厳しい寒さのロンドンの冬でもぬくもりを与えてくれ、緊張感のあるオフィスワークをそっとサポートしてくれるような存在です。
「もう 10 年以上この仕事をしていますが、『午後 6 時を待つ』という働き方をした日は、1 日もありません。毎日がまったく違っていて、瞬時に判断しなくてはいけない。でも私は、この変化のある働き方がずっと好きなんです」
ローラさんがこの仕事にやりがいを感じる瞬間は、アーティストの成長を側で支えられることと、そして作品が実際に形になり世の中に出ていく過程を見届けられること。通勤途中で担当した作品が広告として目に入る瞬間や、書店で本を手に取るときに、達成感を感じるのだといいます。
環境も、スケジュールも、日々変化し続けるような、タフなワークスタイル。そんな状況をサポートする一つの手段として、自分が心地よいと思える洋服を選ぶのもいいでしょう。ジョン スメドレーのエコカシミヤは、静かなぬくもりと安心感を与えてくれる、一つの支えになるかもしれません。
Photography by Local Artist
Edit and Writing by Ayumi Taguchi (kontakt)