A STUDY IN COLOR LAYERS
色を重ねる、という愉しみ。
November 7th,2025
JOURNAL
WEAVING A RELATIONSHIP WITH KNITWEAR
ニットと紡ぐ、関係のかたち。
November 21th,2025
MOCK TURTLE NECK PULLOVER | KILDAY | WOOLF RED | ¥50,600
POLO SHIRT | A4780 | SNOW WHITE | ¥51,700
WIDE SHAWL | WEST | MUSHROOM | ¥38,500
Pants are model’s own
MOCK TURTLE NECK PULLOVER | KILDAY | WOOLF RED | ¥50,600
POLO SHIRT | A4780 | SNOW WHITE | ¥51,700
WIDE SHAWL | WEST | MUSHROOM | ¥38,500
Pants are model’s own
シンプルなデザインの奥に、長い年月をかけて培われた技術が詰まったジョン スメドレーのニットウェア。使うほどに肌に馴染み、時間を重ねることで生まれる豊かさがあります。 今回はひとつのモノと長く付き合うことの価値を、あるご夫婦の暮らしから紐解きます。
くたくたになっても、捨てられない。ジョン スメドレーを愛用する人のなかには、何十年も着続け、最終的には部屋着やパジャマとして使っている、という方も少なくありません。熟練の職人の丁寧な仕立てから生まれる確かなクオリティと、流行に左右されないタイムレスなデザインで、長く愛用できるアイテムが揃うジョン スメドレー。「捨てどきがわからない」と語る声は、それだけその洋服が暮らしに溶け込み、日常の一部になっている証といえるでしょう。
日本の民運動を牽引した思想家・柳宗悦は、「作物には、作られるまでの前半生と、作られてからの後半生のふたつの生涯がある」という言葉を残しています。これは、モノの価値は職人やデザイナーといった「作り手」だけで完結するのではなく、実際にそれを手にした「使い手」によって、さらに深まり育まれていくということ。
次々に新しいモノが生まれ、目まぐるしく変化する現代において、ひとつのモノと長く付き合い続けることには、どのような価値があるのでしょうか。それを考えるヒントが、本とともに半世紀以上の年月を歩んできた、あるご夫婦の営みにあるかもしれません。
舞台は、都内の築 50 年の集合住宅にある、広々としたベランダから空を望む一室。そこを拠点に、約 30 年にわたって編集出版事務所「エクリ」を営んできたのが、編集者の須山実さんと、ロシア語翻訳者の佐喜世さんご夫妻です。二人三脚でこれまで数多くの書籍を編集し、年に一冊という丁寧なペースで自ら出版も手がけてきました。
そんなおふたりが 15 年前に制作したのが、「木と言葉」という一冊。古今東西の書物から「木」にまつわる言葉を集めた本で、制作中に木に関する書籍が約 80 冊ほど手元に集まったといいます。それらを眺めているうちに、「せっかくなら、もっと多くの人に読んでもらえる場所をつくろう」と思い立ち、自宅の一室を私設図者館として開放することに。植物や樹木に関する本が並ぶことから、「木林文庫」と名づけられたこの図書館は、毎週金曜と土曜に予約制で開かれ、誰でも訪れることができます。その後も、散歩の途中で立ち寄った古本屋などで少しずつ本を買い足し、今では蔵書は 1800 冊近く。部屋いっぱいに並ぶ本たちは、まるで静かな森のように広がり、訪れる人を迎え入れてくれます。
「本に触れると、なぜかほっとするんです」と、口をそろえるおふたり。その安心感は、本というモノの中に、それが著された時代の空気や人々の思考、感情が詰まっているからかもしれません。さらに、木林文庫を開いてからというもの、本を通して思いがけない出会いも増えたといいます。「いらっしゃる方は、高校生から 88 歳の方まで本当にさまざま。一冊の本をきっかけに会話が始まり、これまで知らなかった世界に触れることができるんです」
「本」には、文字として書かれた以上のことが記録されています。本と出会ったときの情景や、本を通じて出会えた人たち。そのすべてが本の中に蓄積し、自分だけのかけがえのない一冊となっていく。長い時間をともに過ごすことで育まれるこの感覚は、洋服にも通じるものがあるでしょう。
CREW NECK SWEATER | EMMY | RICHARDSON GREEN | ¥50,600
CREW NECK PULLOVER | 1784S | MUSHROOM | ¥66,000
Shirt and pants are modelʼs own
CREW NECK SWEATER | EMMY | RICHARDSON GREEN | ¥50,600
CREW NECK PULLOVER | 1784S | MUSHROOM | ¥66,000
Shirt and pants are modelʼs own
佐喜世さんが着用しているグリーンのニットは、定番のクルーネックニット 「EMMY」。滑らかで光沢のある 30 ゲージの編地に、今季のシーズナルカラー 「RICHARDSON GREEN」が美しく映えています。一方、実さんが着用してい るのは、今シーズン新たに登場したクルーネックセーター「1784S」。しっかりとした 7 ゲージの厚みがあり、プランド創業年「1784」があしらわれた、遊び心のある一着です。どちらのニットにも使われている、エクストラファインメリノウールは、着るほどにやわらかさが増し、しっとりと身体に馴染んでいく素材。ともに過ごすなかで、暮らしに自然と溶け込み、袖を通すたびに心地よさと安心感をもたらしてくれる、そんな衣服へと育っていきます。
そして本と同じように、大切に使い続けるためには日々のケアも欠かせません。ジョン スメドレーのニットウェアは、自宅の洗濯機でのお手入れも可能。中性洗剤と洗濯ネットを使い、1 枚ずつネットに入れてドライコースや手洗いコースなどで洗えます。脱水後は手でシワを整えて陰干し。できれば平干しネットを、物干し竿を使う場合は二つ折りにして袖が垂れないようにするのがポイントです。また、ほつれや破れが生じた場合には、修理サービスも利用できます。
本と服。そのどちらにも共通しているのは、「共に過ごすこと」で、自分だけの価値が蓄積していくということ。ジョン スメドレーのニットウェアもまた、時間とともに育つもの。何度も袖を通すうちに肌になじみ、やがてそれは、記憶や時間と結びついたかけがえのない一着へと変わっていくのです。
Photography by Shusaku Yoshikawa
Edit and Writing by Junki Shibata (kontakt)