BRITISH SPIRATION : Wrapped in a versatile peacoat
船の上から、都市生活まで。
November 14th,2024
JOURNAL
GINZA STORE 30TH ANNIVERSARY
Introduction to Far East
September 15th,2023
2023 年、ジョン スメドレー銀座店は開店 30 周年を迎えます。銀座のみゆき通りに
位置するこの路面店の歴史をさかのぼると、その前身には「ルノアール」という洋品
店があります。創業は 1948 年(昭和 23 年)。まだ戦後の混乱が収まらないなか「落
ち着いた、上品な、流行にとらわれないものを」というポリシーを掲げて、イギリス
やイタリアなど西洋から買い付けた天然素材の洋服をメインに、ネクタイや財布、キ
ーホルダーなどの小物類を取り揃え、舶来品に限らず、優れた国産品を紹介しました。
1993 年には、この洋品店にジョン スメドレーを卸していた代理店リーミルズ エージ
ェンシーが店舗を譲り受けるかたちで世界初の直営店をスタートしたのです。
2023 年、ジョン スメドレー銀座店は開店 30 周年を迎えます。銀座のみゆき通りに 位置するこの路面店の歴史をさかのぼると、その前身には「ルノアール」という洋品店があります。創業は 1948 年(昭和 23 年)。まだ戦後の混乱が収まらないなか「落ち着いた、上品な、流行にとらわれないものを」というポリシーを掲げて、イギリスやイタリアなど西洋から買い付けた天然素材の洋服をメインに、ネクタイや財布、キーホルダーなどの小物類を取り揃え、舶来品に限らず、優れた国産品を紹介しました。1993 年には、この洋品店にジョン スメドレーを卸していた代理店リーミルズ エージェンシーが店舗を譲り受けるかたちで世界初の直営店をスタートしたのです。
ルノアールが開業した当時、銀座は舶来品がいちはやく紹介され流行が生まれる街
でした。1955 年に創刊し銀座の文化を伝える雑誌『銀座百点』の現・編集長の田辺
夕子さんは、取材を通して、銀座とファッションの強い結びつきを感じてきたそう
です。
「銀座には、エルメスやグッチを日本に紹介したサンモトヤマをはじめ、一流の洋品
をインポートしたセレクトショップが沢山ありました。なかでも、ルノアールは流
行品というよりも質がいい確かな” 名品” や” 定番” を紹介していたようです。
ルノアール、そしてジョン スメドレー銀座店がある “みゆき通り” はお洒落な界隈と
して有名な通り。つねにアンテナを張っている人たちが、素敵なものを探しに来てい
ました。私が編集部員になって銀座をよく歩くようになったとき、なぜみゆき通りは
こんなに綺麗な舗道で、街灯に鳳凰がいるの? と気になったんです。商店街の連合会
を” みゆき通り美化会” と名付けた先人も、いつもお洒落であってほしいと思ってい
たのでしょう」
ルノアールが開業した当時、銀座は舶来品がいちはやく紹介され流行が生まれる街でした。1955 年に創刊し銀座の文化を伝える雑誌『銀座百点』の現・編集長の田辺夕子さんは、取材を通して、銀座とファッションの強い結びつきを感じてきたそうです。「銀座には、エルメスやグッチを日本に紹介したサンモトヤマをはじめ、一流の洋品をインポートしたセレクトショップが沢山ありました。なかでも、ルノアールは流行品というよりも質がいい確かな” 名品” や” 定番” を紹介していたようです。ルノアール、そしてジョン スメドレー銀座店がある “みゆき通り” はお洒落な界隈として有名な通り。つねにアンテナを張っている人たちが、素敵なものを探しに来ていました。私が編集部員になって銀座をよく歩くようになったとき、なぜみゆき通りはこんなに綺麗な舗道で、街灯に鳳凰がいるの? と気になったんです。商店街の連合会を” みゆき通り美化会” と名付けた先人も、いつもお洒落であってほしいと思ってい たのでしょう」
今でこそ、インターネットでの買い物は当たり前になりました。しかし、日常のな
かで肌に触れる衣類は、目で見て手に触れて選びたい。値の張る一流品を買い求め
るなら、じっくりと実物を吟味したい。銀座は今も昔も、そうした気持ちに応える
街です。そして、買い物のついでにぶらぶらと歩きたくなる街でもあるかもしれま
せん。そのことには、こんな理由があるのではないかと田辺さんは話します。
「銀座がいわゆる “街” として整備されたのは明治 5 年です。その頃の地図と今の地
図を重ねてみたことがあります。銀座通りや、すこし入った路地はスケールがあま
り変わっていませんでした。つまり、銀座には” ヒューマンスケール” が残ってい
るのかもしれません。道はこぢんまりとして、目に入るものに親しみが感じられる
距離感というか。そんな街のつくりとも重なるように、銀座の人たちは横のつなが
りを大切にしています。人と人が出会って商売が生まれ、文化が芽吹く。人同士、
ということを大切にするのは接客でも同じでしょう。銀座は、顔がよく見える街で
あり、そこに生まれる” 信用” が、銀座の文化を発展させてきたのだと思います」
ジョン スメドレーと日本のお客様は、歴史のある銀座の街で出会いました。心意気
を持って名品を紹介した洋品店ルノアールは、そのサービスの原点として、お店が
「道路の延長」に感じるほど、気兼ねなくふらりと立ち寄れる店舗にしようとしてい
たといいます。その場所を引き継いでスタートしたジョン スメドレー銀座店は、30
周年を迎え、これからも、お客様がクローゼットに長く残る洋服に出会う空間とし
て、誠実な姿勢を大切にしながら、ニットウェアを届けていきたいと考えています。
Interviewee Yuko Tanabe (ginza 100ten)
Edit and Writing by Yoshikatsu Yamato (kontakt)
今でこそ、インターネットでの買い物は当たり前になりました。しかし、日常のなかで肌に触れる衣類は、目で見て手に触れて選びたい。値の張る一流品を買い求めるなら、じっくりと実物を吟味したい。銀座は今も昔も、そうした気持ちに応える街です。そして、買い物のついでにぶらぶらと歩きたくなる街でもあるかもしれません。そのことには、こんな理由があるのではないかと田辺さんは話します。
「銀座がいわゆる “街” として整備されたのは明治 5 年です。その頃の地図と今の地図を重ねてみたことがあります。銀座通りや、すこし入った路地はスケールがあまり変わっていませんでした。つまり、銀座には” ヒューマンスケール” が残っているのかもしれません。道はこぢんまりとして、目に入るものに親しみが感じられる 距離感というか。そんな街のつくりとも重なるように、銀座の人たちは横のつながりを大切にしています。人と人が出会って商売が生まれ、文化が芽吹く。人同士、ということを大切にするのは接客でも同じでしょう。銀座は、顔がよく見える街であり、そこに生まれる” 信用” が、銀座の文化を発展させてきたのだと思います」
ジョン スメドレーと日本のお客様は、歴史のある銀座の街で出会いました。心意気を持って名品を紹介した洋品店ルノアールは、そのサービスの原点として、お店が「道路の延長」に感じるほど、気兼ねなくふらりと立ち寄れる店舗にしようとしていたといいます。その場所を引き継いでスタートしたジョン スメドレー銀座店は、30周年を迎え、これからも、お客様がクローゼットに長く残る洋服に出会う空間として、誠実な姿勢を大切にしながら、ニットウェアを届けていきたいと考えています。
Interviewee Yuko Tanabe (ginza 100ten)
Edit and Writing by Yoshikatsu Yamato (kontakt)