1. 04 MARION GRAUX





















自らの心に素直に、優美であれ

語り マリオン・グロー

 私はファッションを学び、インテリアスタイリストとして活動しましたが、シーズンごとに目眩く展開するコレクションを自分事として感じられないと気づくのにそう時間はかかりませんでした。ファッションの世界は、まさしく戦いの日々。忙しなく煌びやかな仕事に反して、私は、非常に保守的な考えが自分の根本にあるのだと自覚するのです。慌ただしく流行を追いかけるのではなく、その日、そのときの自分にとって心地よい服装が好ましい。うつわに対しても同じです。できる限りナチュラルであるほどよい、と。
陶芸家として活動を始めた10 年前に作ったプレートと現在の作品を見比べると、とてもよく似ていて驚きます。けれども確かに変わったこともあります。作品の完成度がより高くなり、正確で、私が大事にするエッセンシャルな要素がうつわに現れるようになってきました。かつては技術を見せようと、自分になにができるか作品を通じて誇示しようとしていましたが、今ではシンプルなかたちであるほどよいとしっかり思えるようになったからでしょうか。言うならば、土の紙のよう。もし森の中でお椀をナイフ一本で作ることになったら生み出されるような......素材そのものを活かしたうつわ。それを大事にしながらも、作品が脆かったり、あまりにも薄すぎる釉薬がけをしたり、繊細すぎるふちのつくりは控えるようになりました。機能性も重要ですから。
作品と向き合うとき、私は自分の中にある感情や心の乱れを生み出す根源を集中して見つめ、観察します。それは決して言葉で説明できるものではありません。私にとってそうした内面の動きや感情は釉薬の色に結びついているように思います。うつわを彩るバリエーション豊富なピンクのうち、バラ色はそのひとつです。これは私の怒りや感動で染まる頬に由来する偏執の色なのです。私が思うに、およそ1000 もの釉薬の数だけ、そこには感情が映し出されます。そうした色や表現を通じてみなさんに見出されるものがあるといいのですが。たとえば都会的で、スタイリッシュに洗練されたものだけではなく、シンプルさの中にエレガンスを見出してもらえたら、それはとてもうれしいですね。


自らの心に素直に、優美であれ

語り マリオン・グロー

 私はファッションを学び、インテリアスタイリストとして活動しましたが、シーズンごとに目眩く展開するコレクションを自分事として感じられないと気づくのにそう時間はかかりませんでした。ファッションの世界は、まさしく戦いの日々。忙しなく煌びやかな仕事に反して、私は、非常に保守的な考えが自分の根本にあるのだと自覚するのです。慌ただしく流行を追いかけるのではなく、その日、そのときの自分にとって心地よい服装が好ましい。うつわに対しても同じです。できる限りナチュラルであるほどよい、と。
陶芸家として活動を始めた10 年前に作ったプレートと現在の作品を見比べると、とてもよく似ていて驚きます。けれども確かに変わったこともあります。作品の完成度がより高くなり、正確で、私が大事にするエッセンシャルな要素がうつわに現れるようになってきました。かつては技術を見せようと、自分になにができるか作品を通じて誇示しようとしていましたが、今ではシンプルなかたちであるほどよいとしっかり思えるようになったからでしょうか。言うならば、土の紙のよう。もし森の中でお椀をナイフ一本で作ることになったら生み出されるような......素材そのものを活かしたうつわ。それを大事にしながらも、作品が脆かったり、あまりにも薄すぎる釉薬がけをしたり、繊細すぎるふちのつくりは控えるようになりました。機能性も重要ですから。
作品と向き合うとき、私は自分の中にある感情や心の乱れを生み出す根源を集中して見つめ、観察します。それは決して言葉で説明できるものではありません。私にとってそうした内面の動きや感情は釉薬の色に結びついているように思います。うつわを彩るバリエーション豊富なピンクのうち、バラ色はそのひとつです。これは私の怒りや感動で染まる頬に由来する偏執の色なのです。私が思うに、およそ1000 もの釉薬の数だけ、そこには感情が映し出されます。そうした色や表現を通じてみなさんに見出されるものがあるといいのですが。たとえば都会的で、スタイリッシュに洗練されたものだけではなく、シンプルさの中にエレガンスを見出してもらえたら、それはとてもうれしいですね。